手紙3「善意に満ち溢れた翻訳家ですね」(安達充)

9月1日(土)のアーティストフォーラム2018まであと少し。

ライブ当日まで、「なぜ自分がアーティストフォーラムをやるのか?」ということについて、

たった一人に向けての手紙形式で綴っていきたいと思います。


 

暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?

もうあれから、7年も経つのですね。

皆さん、少しでも元の生活に戻っていらっしゃることを願っています。

 

今日は、感謝の想いを伝えさせてください。

あの時の出会い、そしてあの時にもらった「善意の翻訳家」という言葉がどれだけ自分の支えになったか。

いつかそれをお知らせしたい、とずっと思っていました。

 

日本中が衝撃に揺れた3.11。

音楽という仕事柄、「こんな時こそ何かすべき」と思いつつ、何をしてよいかわからない。

何のためにこの仕事をしているのかと、無力感を感じました。

 

でも、ご縁があって双葉の皆さんに「被災した方の想いを即興で歌にする」ライブをさせていただくことになり。

最初は「話してもらえなかったらどうしよう?」「聴いてもらえなかったらどうしよう?」と不安いっぱいでしたが、

出会った皆さんは本当にあたたかくて、こちらがたくさんの勇気をもらいました。

 

そしてあなたと会い、大切な想いをたくさん聴かせていただきました。

「自分が今まで培ってきたものは、この時のためにあったのかも知れない」

そんな風に思いながら、無我夢中で曲を作ったことを覚えています。

 

3回目に伺った時には、一緒にお酒を飲んで、お土産までもらって。

音楽というものを通して、家族のように接してくださったことがどれだけうれしかったか。

そして、半年後に仮設住宅に移られることが決まった時に、あのお手紙をいただきました。

 

先生、長い間私たちを励ましてくださいまして本当にありがとうございました。

私たちは、避難生活を続ける中で、新しい事実が明らかになるにつれ現実としてそれを受け入れることができず、ため息と無気力、その日暮らしの毎日でした。

取り留めのない話をし、過去にこだわり、悲しい自分に涙しました。しかし、先生は、そんな私たちにも夢や希望のあることを引き出して下さいました。自分の知らない自分に会え、自分を見つめ、自分を励ましている自分がいたのです。それは、先生の温かい感性であり、言葉の豊かさだったように思います。正に善意に満ち溢れた翻訳家ですね。

 

この時にいただいた「善意に満ち溢れた翻訳家」という言葉は、僕の誇りでした。

音楽という仕事に無力感を感じ、大災害の前には自分の活動は何の価値もないように思っていた。

でも、そうじゃない。自分の仕事は「音楽を聴かせる」ことではなく「音楽を通して善意の翻訳をすること」なんだと再定義することができました。

 

100年先を創るため 私に出来ることは
心の中に残る景色を 未来へ伝えること
『100年先の双葉へ』

どんな絶望の中にも、希望がある。

人間の中にある強さ、気高さを、あの時から信じられるようになりました。

そして内側にある素晴らしい部分を引き出せる、音楽という可能性にも。

 

あの3年後から、アーティストフォーラムというイベントを始めました。

音楽は手段であり、僕の役割は音楽を通して皆の素晴らしいところに光をあてることだと思っています。

だから僕は、これからも「善意の翻訳家」という言葉を誇りに、この活動を続けていきます。

 

今は東京でしか開催していませんが、将来的には地方でも、このアーティストフォーラムをしたいと思っています。

いつか福島でもその日を迎えられるように。

その時に、またあなたと、そして皆さんと再会できることを願っています。

#アーティストフォーラムまであと48日

アーティストフォーラム2018、9月1日(土)大田文化の森ホールにて開催決定!
チケット申し込みはこちらから。
アーティストフォーラムとは?(初めての方へ)
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。